

■審判の季節
600年ほど前に原因不明の大災害。
隕石群の落下による地表破壊、そしてそれに続く地殻変動をはじめとするあらゆる自然災害が続いた結果、地上は一変。わずかな人類を残し文明も崩壊。復興を遂げるまでに数百年かかる地球規模の大災害となった。
■大空洞
審判の季節の際、大型隕石が落着した場所。桁違いのラウズ鉱石反応が確認されるため各勢力が大軍を率いてクリプテッド討伐に進軍するものの未だ人類が攻略出来ていない地域。
かつてのオーストラリア大陸にある。
■ワイズ連邦
旧アフリカ大陸、旧アジア大陸を中心とする巨大連邦国家。旧アジア大陸の大国ゴートワルナ、隣国のゼアルド、そして砂漠の国イルレファーン。当時爆発的に勢力を拡大していたフェイエトール帝国に対抗するために3大大国が中心となり周辺諸国や共同自治体が同盟を結び発足された巨大構成体。比較的復興が早かった東半球に存在する国家を中心に構成される。
しかし長期間続いたシステムはほぼ形骸化しており、構成国同士の異民族間紛争や国境をまたぐラウズ鉱石採掘地の利権をめぐるエネルギー戦争も少なくない。
連邦政府が保有する戦力として連邦軍が存在しているが、主権国家3国を筆頭に独自の軍を保有している国家も多く存在する。
帝国への巻き返しを図るためリーパー、グリムリーパーを開発、いち早く戦場へ投入したが、そのアドバンテージも一時的なものだった。
現在ではαグレードを超えるグリムリーパーを開発中との噂もあるが、真偽のほどは定かではない。
■フェイエトール帝国
旧ヨーロッパ大陸と地殻変動で地続きになった旧グリーンランド地方を統一した地球圏最大の単一超大国。
ローランシア皇帝、ノヴム·ロマエ16世が統治する。
皇帝任命権を持つローランシア教皇と最高権威を二分する。
広大な領地は封建体制のもと統治されているが、長く続く皇帝派と教皇派による叙任権闘争のなか各地の諸侯は領地支配における特権を拡大しており、半ば独立した政体になっている。
更にそれらの諸侯が領地を足がかりに独立戦争を起こすなど常に内紛が頻発しており決して一枚岩ではない。
国としての主戦力は帝国軍だが、皇帝直轄の皇帝騎士団、教皇直轄の聖堂騎士団をはじめ各地の諸侯領地、都市も独自の騎士団を保有している。
更に皇帝は国家からは独立した私設騎士団「13ブレイズ」を所有しているが、皇帝自身が直接任命権を持つこの騎士団は出自を問わず皇帝自身が認めた強さを持つ者で構成される。
バルムンク発祥の地でもある。
■キャスレーン共和国
優れた技術力を持ち、その能力を世界復興に向けて行使する環境を育むため両陣営から永世中立国に指定されていた国であるが、より大国へと変貌を遂げるため改革推進派によってクーデターが勃発する。その後「キャスレリア」と名を変え、軍需産業大国として世界のパワーバランスを一変させた。
世界に兵器を蔓延させた死の商人、現在の戦乱を招いた元凶とも言えるが、その技術力によって社会の発展に大きく貢献しているのも事実である。
■倭ノ國
四方を海に囲まれた島国。かつての日本。旧世界崩壊時に四方を囲む海底に断層が生じたため潮流が激しく海路での往来が困難で、航空技術が復活するまで長く外界との断絶が続いていた。
非常に優れた剣術を体得しており独自の死生感を持つ侍と呼ばれる戦士や、隠密や暗殺などを得意とする忍など、他国には存在しないスキルを持った傭兵が多数存在し、傭兵業そのものが国益の一端にもなっている。
また、自身が認めた主のためには己の命も顧みないという任務に対する強い使命感を持っているため、侍や忍を傭兵として側に置ける事は雇用主のステータスにもなっている。
同様に侍や忍が使用するエグゾスケルトンやグリムリーパーも倭ノ国独自の様式美と職人による高い技術力で作られており、生産数は極端に少ないが各国の垂涎の的である。
侍の死生観、思想は騎士道に通じるものがあり、フェイエトールとは親交が深く、その出自を問わない皇帝直轄騎士団「13ブレイズ」の歴代騎士団長にも倭ノ國出身の侍が数人着任している。
■サルーデ国
軍需産業が発達した連邦非加盟国。武器輸出が国家の財政のほとんどを賄っており国も軍需産業を推奨しているので、表立って兵器開発、製造の出来ない国の格好の隠れ蓑になっている。
政府とも繋がっているサルディアンマフィアと呼ばれる巨大カルテルが裏社会を仕切っており、ここを通して資金洗浄や偽装工作が行われる。
中立国キャスレーンの改革推進派が武器開発のため設立された企業「D&H社」も彼らの手引きにより巧妙に繋がりをカムフラージュされている。
■傭兵ギルド
軍や民間企業に所属しないフリーランスのバルムンク、およびリーパー、グリムリーパー乗りで構成される組織。傭兵同士の互助会。
主に都市、自治区など、稀に軍や国からミッション単位で仕事を請負う。その内容は護衛やクリプテッド討伐、用心棒まがいの仕事まで様々であり、報奨金という形で報酬を得ることを生業としている。
数人~数百人単位のギルドが存在し、仕事を請け負う場合はチームまたは個人でそのミッションに従事する。
組織同士の戦争代理から表立って公表出来ない戦闘の代理、採掘場の護衛まで、ミッションの内容は多岐にわたる。
■PMC(民間軍事会社)
国軍への軍事教練、援軍派兵、警備活動、兵站、後方支援、要人警護、国軍を持たない小国への派兵等、主に国家を雇用主とすることが多いが、企業や個人でも業務を請け負う。GKIサービス、プロディジー・ウルフ社、エアリアル・セキュリティなどが有名で、大手であればオリジナルのグリムリーパーを所有するほどである。
■エグゾスケルトンシステム
フェイエトール帝国技術局第14支局、通称「再生局」より「兵士1人1人の戦力の向上を図る」ために提案された「エグゾスケルトン計画」により産まれたサイバネティック技術の応用による強化外骨格スーツとその制御システム。
着用する者の体内にインプラント施術で埋め込まれたナノサイズデバイス、通称「宝玉」でスーツを制御する事で超人的な戦闘を可能とする。
機械的に着用者のパワーを増強させるため、非力な者でも脅威的なパワーを発揮できる。そのため戦闘の際は戦闘センスや才能、スーツや携行している武装の性能、それらとの相性や熟練度が優劣を決める。
メーカー、モデルによって特徴は様々だが基本的には汎用性が高く、各所に設けられたハードポイントに各種装備をセットすることによって様々な作戦、用途によってカスタマイズすることが出来ることも特徴の一つである。
現在では民間でも広く使用されおり、軍などの組織よりもむしろ個人のスキルが必要な彼らの方が積極的にスーツを自分好みにカスタマイズしている。
■バルムンク
エグゾスケルトンを纏って戦う者の愛称。
元々は生身での戦闘が多かったフェイエトールの騎士、兵士の戦闘能力、生還率向上のためのプラン「エグゾスケルトン計画」から生まれた名称であったが、エグゾスケルトンを纏って戦う者の総称となった。
民間にまで広まった現在ではバルムンクの優劣を決める大会も各地で開催されており、名を上げたい企業や傭兵なども多く参加している。
■サイバースケルトン「DOLL」
帝国でエグゾスケルトンと同時期に完成した自立型AIを搭載したサイバネティックボディ。
同系統の技術は総じてサイバネティック技術と呼ばれ、帝国軍技術局第14支部、通称「再生局」が専門に扱っており、主に負傷した兵士のための欠損した四肢を補う義手や義足の開発を行っていたが、ナノサイズの制御チップとスーツから成るエグゾスケルトンシステムの開発と、同分野では最先端を行っていた再生局の既存技術の応用と組み合わせで、エグゾスケルトンシステムとの併用を前提としたサイバネティックボディが完成。あくまでエグゾスケルトン開発の副産物ではあったが、帝国軍の理想のひとつであった「死なない兵士」として現在に至るまで重用されることとなる。
マスター契約を結んだ人間からのコマンドによって運用される戦闘ユニットとして、ミッションごとに部隊長(マスター)とスレイブリンクと呼ばる契約(コマンド実行権)を結ぶ。
基本的には個で運用される事は少なく、生還率の低い戦場や大部隊が必要な際の人員補充などに大量に投入されるケースが多い。
それ故DOLLの部隊はマスターの戦略と采配如何で戦果が大きく左右される。
そして戦闘が終わればスレイブリンクは解除され、また新たな指令を待つ。
また、基本的にエグゾスケルトンシステムとの同時運用が前提とされているため、ボディは人間と同規格のスーツを着用するため人工筋肉と合成皮膚で構成されているが、頭部はその必要性がないため強化アルミ合金や強化シリコン製の基本骨格のみ(人間でいう骸骨)で構成されている場合が多い。
極稀なケースとして脳以外のすべてをサイバネティックボディに移し替える人間も存在する。
そうした場合外観上はDOLLなのだが、便宜上あくまで「四肢の多くをサイバネティックボディ化した人間」であり、DOLLではないので倫理観や法律はあくまで人間のそれに準じる。
キャスレリアの建国に始まる世界戦力均等化宣言によってDOLLの技術も世界中に流出。現在では主に帝国、連邦両軍で兵士として使用されているが、小国家や民間で使用されるケースも少なくない。
自立思考が可能であるが極端に制限されてるいるため独立行動は基本不可能である。(簡単なコミュニケーションは可能)
■D.D.(Drone DOLL)
DOLLの頭部ユニットと簡易ボディで構成された索敵用ドローン。
マスターへ音声と画像情報を送る。様々な外装がある。
■ユングフラウユニット
リーパー、グリムリーパーの根幹を成すコアユニット。
当時帝国相手に劣勢を強いられていた連邦軍が既成概念を打ち破る兵器を求め、中立国キャスレーンで開発された重機レコンビネーターのコアモジュール、E-S(アインシュタイン)ユニットの基本理念をベースに、兵器としてリパッケージした万能兵装プラットフォーム。キャスレーンが持つラウズ鉱石の超高密度結晶化技術を元に開発された超小型制御コアシステムによって、セットで運用される四肢モジュールを制御する。
5m級の汎用兵器リーパーと10m級の大型人型兵器グリムリーパー、両兵器の共通プラットフォームで、リーパーとグリムリーパー両モジュールの混合構成も可能という脅威的な柔軟性を有する。
人体で言うところの胴体、肩、太ももで構成されるものが多く、腰部にバランスコントロールセンサーがあり、セットされる四肢の種類によって背骨、肩、股間の位置をオートで調整、背中に当たる箇所にコックピットモジュールを接続、機体を操縦する。
当初連邦が独自に運用していたが、軍需産業大国キャスレリアによってクリプテッドに対抗する手段として世界中にこの兵器を入手する機会が均等に与えられ、その際ソケット規格は世界共通となった。そのため敵対勢力同士の四肢モジュールや武装に互換性があるという、兵器としてはある意味ナンセンスな特徴を持つ。
■リーパー
ユングフラウユニットに簡易的な腕、脚、頭部にコックピットモジュールをセットした6m級の汎用兵器の名称。
簡易的とは後述のグリムリーパーと比較した時の表現で、実際には戦闘用レコンビネーターなどを遥かに凌駕する出力と器用さ、堅牢さを持つ。
頭部はカメラとセンサーの集合体だが、それらを別位置に配置し頭部ソケットに機銃座などを設置して複座仕様にするタイプも多く存在する。
腕部は初期は簡易的なマニュピレーターしか備えておらず、腕部に武装を装備する際は下腕ハードポイントに接続する構造だった。が、グリムリーパー用のαグレードモジュールの開発で得た技術的フィードバックにより、リーパーサイズの精密作業にも対応した五指タイプの小型マニュピレーターが登場して以来、ハンドグリップが可能なタイプが主流になっている。
脚部は太ももまでがメインユニットにパッケージングされているので膝から下のモジュールを交換する構造になっている。勿論歩行も可能だがどちらかと言えばホバーやスラスターなどの推進補助ユニットとしての役割が主である。
また、基本的には人型が多いが、非人型タイプのバリエーションも存在する。
■グリムリーパー
ユングフラウユニットに大型の腕、脚部、頭部にコックピットユニットをセットした10m級の大型人型兵器の名称。
リーパーよりも人型に近い体型、動きが特徴で、リーパーでは対処出来ない大型クリプテッドや戦場の趨勢を決定づける決戦兵器として投入される。現時点で単体としては人類が保有する最強の機動兵器といえる。
■αグレードグリムリーパー
ユングフラウユニットの性能を最大限まで引き出すためにサイバネティック技術の応用で開発された高性能の四肢「αグレードモジュール」をセット、常人ではまとも動かすことすら出来ないそれらをコントロールするため、ナノサイズの超小型制御デバイスを体内に埋め込んだリンカー専用のグリムリーパー。
リンカーが搭乗することでユングフラウユニットのOS内にこれらのモジュールのために組み込まれた追加プログラム「シンセティック·モーション·システム(SMS)」(制御デバイスと専用スーツを通してリンカー自身の反応速度を機体にダイレクトに伝えるシステム)がアンロックされ、自身の肉体に近い、より感覚的な操縦が可能となる。
共通のプラットフォームにセットされるが構造と性能が異なること、高性能ゆえインプラント施術を受けたパイロットにしか扱えないことなどから、運用上既存モジュールとの差別化が必要となり、これらのモジュールをαグレード、既存のものをβグレードとグレード分けをするようになった。
■βグレードグリムリーパー
一般兵(非リンカー)用グリムリーパー。グリムリーパー誕生以来しばらくはグレード分けという概念は存在しなかったが、高性能なαグレードモジュールが誕生してからは基本的に他すべてはβグレードに分類される。
ただ、αグレードモジュールはその高性能さ故にそれなりに高コストな上にパイロットの処置、練度も必要とされるなど、兵器としては様々な面でピーキーであった。それに比べてβグレードモジュールは、パイロットの習熟訓練期間も短く生産性も高い上に安定した性能を誇り、加えてリーパーモジュールとの相性も良い。
つまり
αグレード→様々な条件を度外視して性能の限界を目指したハイスペックな機械
βグレード→限界よりも安定した性能と生産性に重点を置いた信頼性のある機械
と言える。
総合的に見ても決して兵器としてαグレードに劣るものではなく、開発、運用は積極的に継続された。その信頼性からβグレードを好むパイロットも多く、現在に至るまでグリムリーパーモジュールの生産数割合は圧倒的にβグレードの方が多い。
そしてパイロットの操縦技術やセンス、機体への熟練度次第ではαグレードと同等の性能を発揮することも可能である。