- NAOKI
ゲイルハウンドのテストショットを組んでみました2
更新日:2023年4月29日
さて前回はゲイルハウンドのコンセプトや外観についてお話させていただきました。
今回は可動についてご紹介していきたいと思います。
まず、可動に関する基本的なコンセプトとしては
1:動かしたい方向に満足に動かせる
2:動かした時に身体のラインが崩れない
の2点を目指しました。
つまり、人間の可動域を超えて無茶苦茶アクロバティックに動く必要はないが、どの方向から見てもポーズが破綻なく決まる、ということでもあります。
まず1番目に関して。
アクションフィギュアにせよプラモデルにせよ、可動範囲が広い分には当然ありがたいし楽しいのですが、無闇矢鱈に可動範囲を広げても外観なり強度なりに必ず皺寄せが来ます。
ならばとそれらをカバーするために殊更複雑な構造にしようとすると、パーツ数が多くて組み辛くなったりコスト(具体的には商品価格ですね)に反映されたりします。
要は落とし所ですね。
そこで設計のコンセプト段階でアクションフィギュアなどの可動で定評のあるケミカルアタック坂本さんにデザインとモックアップを見てもらい
・ゲイルハウンドでやりたいこと
・完成品のアクションフィギュアで出来て組み立て式のプラモデルで出来ること出来ないこと、その落とし所
・それをプラモデルで実現させるための具体的な可動のアイデア
という感じで相談させていただきまして、それらを設計に伝え反映してもらうという工程を取りました。
おかげでさほど目新しい事もしていないのですが、可動範囲を広く取った方が良い箇所、それほど必要のない箇所、軸位置タイミングの取り方、などの基本的な調整だけでも
「動かしたい方向に動かせる」
「大胆なポージングで身体のラインが破綻しない」
ようになったのではないかと思います。
まさにspecial thanksなのです。坂本さんありがとうございます。
では順に部位ごとに説明をしていきたいと思います。
頭部
ネックガードが特徴的な頭部周りですが、そのせいで頭部の動きが阻害されない構造になっています。
首下側のボールジョイントで頭部位置を調整、頭部内の前後左右2軸で表情をつけるという構造にすることで、ネックガードの干渉を避けるようにしています。
▲首の下側ボールジョイント頭部の前後左右の位置を決め、ヘルメット内の可動で頭部の向きを決める、というイメージです。
腕部
肩を前後方向に動かすと背中の肩甲骨装甲が追従します。
これは2番目のテーマ
「動かした時に身体のラインが崩れない」
ためです。
肩関節は引き出し式の構造になっていますが、これだと身体のラインが不自然に崩れてしまいます。
そこで肩甲骨装甲と肩装甲で引き出し部位を覆うことで自然なアウトラインを形成します。
▲肩を前方に引き出した状態。肩甲骨装甲が移動しているのがわかるでしょうか?
▲真後ろから見ると矢印の方向に移動しているのが良くわかります。
▲上から見ると引き出した肩関節を肩甲骨/肩装甲が覆い、身体のラインが繋がっているのがわかると思います。
意外と簡単な構造なのですが、動かしていて楽しい箇所です。
そしてこれには肩装甲の取り付け位置が腕側ではなく胴体側に設置されていることも大きく寄与しています。
「肩に乗った装甲」だと肩の位置移動に追従してしまい、結果ラインを崩すことになってしまいます。
そこで肩装甲は肩甲骨装甲とは逆に「追従しない方式」とし、可動の際の身体のラインを形成する役目を担っています。
▲肩装甲は「肩に乗っている」のではなく「胴体側から肩を覆っている」方式です
▲このような背中を丸めたポーズの時は先述の構造が格段に活きてきます。美しい!
肘は単純な2軸構造ですが、軸位置の調整でマッシブなデザインながら必要最低限の可動範囲を確保しています。
加えて前腕カフス上部にもう一つ可動箇所を設けています。
手首の捻りだけでは形成できない腕のしなり、拳をグッと握り込んだ力強いラインや、腕を伸ばした時にそれを強調するような外側に反るラインを形成し、ポーズの演出の幅が拡がります。
また、武器を持たせる時の調整などにも有効です。
▲拳をグッと握り込んだ力強いライン。○が可動箇所です。
▲外側に反らせたライン。武器を持たせる時にも有効な可動です。
手首関節は細かいパーツながら武器の保持などで負荷のかかる箇所なので、POMを採用。
塗装出来ない素材ですが、うまく隠れる様に調整してありますので、ほとんど目立たないと思います。
次は脚部そして胴体・・・と行きたいところなのですが、伝えたいことがありすぎてめちゃくちゃ長くなりそうなので今回はここまでとします(笑)まとめきれずスミマセン!
という訳で次回もお付き合いください!
Comments